入賞作品
大賞
さかだちワニ
文 こやまよしえ 絵 アシタ
作品詳細へ優秀賞
むしむしあしあし-けっしょうせん-
りつまめ
作品詳細へ佳作
大賞受賞者のコメント
こやまよしえ
アシタさんと一緒に、大事に育ててきた一作を大賞に選んでいただきありがとうございます。
「うれしい!」です。さかだちワニ的に言うと「かなしい!」。
さかだちワニと一緒に、反対ことばで遊びながら読んでほしいなあと思います。
もしも、あなたのおうちに、さかだちしたワニがやってきたら「けんかしようよ(あそぼうよ)」って声をかけてあげてくださいね。
アシタ
この度は、大賞を頂くことができ、誠に光栄です。何度も感想聞かせてくれた皆さんがいたからこそと感謝しております。
幼い頃、図書館の帰り道で「もう一度読みたかった!」と泣いて、母を困らせました。
小山さんとつくった「さかだちワニ」は、読み終えた後もことば遊びを展開出来る絵本です。
今後も読み終えた後も続くような楽しい絵本を作れるよう精進します。
審査員講評

(審査員、左から藤本ともひこ 氏、いしかわこうじ 氏、おくはらゆめ 氏、大塚健太 氏)
藤本ともひこ 氏
絵本は「絵」と「言葉」の相互作用で、補完しつつ、化学反応が起きるくらいの「何か」を見せて欲しいといつも思っています。
それを探しに本屋さんの棚を見に行くのです。一体どんな思いもよらない世界を見せてくれるか。それが楽しみなのです。
佳作は3点。どれも着眼点はユニークで、それなりにまとまっていたり。しかし、せっかく見つけたアイデアが未消化でした。
「わらう」と「まるいものなぁに?」はセオリー通り作ってありますが、ぼく的には、大きな山場が欲しかった。
いい意味で破綻を期待しちゃう。想定内な展開で終わった感がありました。
「こめつぶ」は模様の猫が飛び出してくる割には、何も起きなかったのが惜しいなあ。
優秀賞「むしむしあしあし」はずっと眺めていられる楽しい新しい虫の足を数える絵本。
知育というよりは化学絵本ぽく読みました。が、虫じゃないものも出てくるので、虫にこだわらないともっと楽しく素直に足を数えられたかな。
その辺の未整理が解消されればいいのです。
大賞「さかだちワニ」。天邪鬼なワニと子どもとの掛け合いが素直に面白かった。けど、ところどころ改善点はあります。
特に表紙のワニが逆立ちしていないのは、勿体無いでしょう。しっかり逆立ちさせてほしいなあ。
全体を通してしっかり逆立ちはさせておいてくださいませね。お話的にも後半がわかりづらいので推敲が必要です。
でも、そんな瑕疵をねじ伏せて、期待と可能性を込めて大賞です。楽しい絵本に仕上げてください。楽しみにしています。
いしかわこうじ 氏
今回は、「知育」の絵本という大枠のテーマがありましたが、応募作品にはこの「知育」に対する捉え方や、
対象年齢もまちまちで、予想以上にヴァラエティに富んだ楽しい作品が集まりましたね。
審査員同士でじっくり話し合うことで、おおむね一致した選考になって良かったです。
大賞に輝いた「さかだちワニ」は、逆立ちと逆さ言葉を掛けたアイデアと、いかにも子どもっぽい会話、そして
独特の味のある絵が良かったです。各場面のつながりをもう少し整理すると、さらに良い絵本になりそうですね。
優秀賞の「むしむしあしあし-けっしょうせん-」は、足の本数に着目した絵本、というのが新鮮でした。
絵やデザインも洗練されていて、子どもも大人も楽しめると思います。
佳作「わらう」は、笑うことを真正面から捉えて描いているのが良いですね。絵も独特の迫力がありますね。
こういうタッチの絵は、今の時代では貴重だと思いました。
佳作「こめつぶ」シンプルな絵柄とテーマが目を惹きました。あと少し、色彩感があっても良いかも知れません。
佳作「まるいもの なぁに?」は、絵と文とテーマが、全体的にうまくまとまっていると思いました。
大塚健太 氏
知育というテーマをどのように捉え、どのように扱い、どのように調理するか。
そこからみなさんの個性が現れていて、とても楽しく読ませていただきました。
選考するにあたっては、テーマもさることながら、絵本の作品として輝いているかどうか?ということを重視しました。
そして選考時点での完成度だけでなく、今後の可能性も感じられる作品が最終的に入選しました。
私自身、文章作家ということもあり、やはりテキストに目が行きましたし、それを求められてもいたと思います。
みなさん発想がほんとうに面白く、ページをめくるのがワクワクしました。
ただ作品全体で見ると、構成力やキャラクターの扱い方、えがき方に肩透かしを感じたものもありました。
アイデアがひらめいた段階ではまだタネの状態。そのタネをどんなふうに育てて、どんな花を咲かせるかが大切で、
絵本作りの醍醐味でもあります。みなさんのおかげで絵本ってやっぱり面白い!と再確認できました。
これからも楽しく絵本を作っていきましょう!
おくはらゆめ 氏
「知育」というテーマを聞いた時、作るの難しそう!って思いました。
自分なりの解釈ですが、「知ることで好奇心が育つ絵本」を意識して選考に挑みました。
大賞「さかだちワニ」
表現が弱い部分とか、分かりづらい文章はあるものの、全体的に新鮮みがありました。
読んだ後に「ふふっ」とうれしくなる。最後のワニのセリフが活き活きしているからだと思います。
優秀賞「むしむしあしあし-けっしょうせん-」
「むしじゃないの混ざってる!」とは思ったけれど、虫苦手な人も大丈夫そうなセンスのある見開き。
数える楽しさや意外さがもっとほしいので、文章はもう少し練りようがありそう。
上位の2冊は両方とも、読んだ後の子どもが、普段の遊びに引用しやすそうな点にも惹かれました。
総評としては、絵は全体的にレベルが高かったです。デジタルの方が多いけど、やるなら味のあるデジタルを目指してほしい。
既視感がある本がしばしば見られました。自分だけの表現を探してほしい。絵を信じて文章を削ってみてほしい。
出来た絵本を何回も自分で声に出して読んでみると気づく事があります。私がデビュー出来たきっかけはコンペに入選した事です。
その頃は毎年出すコンペを決めて、年2、3冊作っていました。
しつこ~く工夫して続けていれば、絶対誰でも一冊は出せると信じています。
YOMO絵本大賞 事務局
今回のYOMO絵本大賞はテーマを設定させていただきましたが、203作品のご応募をいただきました。
作品をご応募いただいた皆さま、ありがとうございました。受賞された皆さま、おめでとうございます!
全ての応募作品を読ませていただき、今回も個性豊かなすばらしい作品が多く、
非常に悩みましたが最終選考は17作品に絞らせていただきました。
審査委員の先生方には厳正に審査していただき、有意義な審査会となりました。
第3回目はテーマを問わずに開催を予定しておりますので、次回もたくさんの方々のご応募をお待ちしております。
詳細は改めてYOMOサイトに掲載いたします。
この度は応募して下さった皆さまに、心より感謝申し上げます。
最終選考作品(受賞作を除く、順不同)
「トトト」 海野あした
「ぼよん」 山﨑たかし
「よっ!」あぷ
「かたち」 味のり
「ちら」 来迎純子
「しかくのえほん」 よしい ひでと
「ぜったいさきに たべニャイぞ!」 あさお よう
「ふんわりカバおじさん」 たばた まさる
「どこからきたの?ABC」 サルズえり華
「せんきょってなに?」 はぁか
「いらっしゃいませぇ うんこちゃん」 やなせあさきち
「とけいのとびら -かなくんとモモのふしぎないちにち-」 ササキ モモ
審査員
藤本ともひこ(絵本作家)/ いしかわこうじ(絵本作家)/ 大塚健太(絵本作家)/ おくはらゆめ(絵本作家)/ 株式会社ニコモ
主催
株式会社ニコモ
協賛
株式会社光陽社
■第 3 回 YOMO 絵本大賞開催予定
応募期間 2025 年 8 月下旬~2025 年 12 月中旬(仮)
※第3回はテーマを問わない予定です。
※詳細は改めてYOMOサイトにて告知いたします。